住民税ってスキマバイトの収入も影響するの?なぜ毎年6月ごろに確定するの?
25.06.19

「スキマ時間を使ってお小遣い稼ぎ!」と気軽に始めたスキマバイト。短時間で働けて便利な一方で、「この収入って税金に関係あるの?」「住民税ってどうなるんだろう…」と、税金について疑問や不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?特に、普段会社勤めをしていない主婦の方や学生にとって、税金の話は難しく感じられるかもしれません。
住民税は、私たちが住む地域の自治体に納める税金です。この住民税額は、前年の所得に基づいて計算されます。では、スキマバイトで得た収入も、住民税に影響するのでしょうか?そして、なぜ毎年6月頃になると住民税額が確定するのでしょうか?
この記事では、スキマバイト収入と住民税の関係について、解説します。
【結論】スキマバイトの収入も住民税に影響する
結論から申し上げると、スキマバイトで得た収入も、住民税の計算に影響します。住民税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間の「所得」に対してかかる税金だからです。スキマバイトで得た報酬は、原則として所得税法上の「給与所得」または「雑所得」に区分されます。どちらの所得になるかは、勤務形態や雇用契約の内容によって異なりますが、いずれにしても所得として住民税の計算対象となります。
そもそも住民税とは?
住民税とは、私たちが住んでいる都道府県と市区町村に納める税金のことを指し、正式には「道府県民税」と「市町村民税」(東京都23区の場合は「都民税」と「特別区民税」)を合わせたものです。主に教育や福祉、消防、ゴミ処理など、地域に暮らす人々の生活を支えるための様々な行政サービスの費用に充てられ、前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税される「所得割」と、所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」の二つで構成されています。
毎年6月ごろに住民税決定通知書が届く理由
住民税額を把握するには、毎年6月頃に届く「住民税決定通知書」を確認することで、その金額を知ることができます。住民税決定通知書には、前年の所得に基づき、今年度(6月から翌年5月まで)に納めるべき住民税の金額が記載されています。
住民税は、前年の所得に対して課税される税金です。そのため、まず1年間(1月1日~12月31日)の所得がいくらだったのかを確定させる必要があります。この所得の確定申告手続きを、会社員の場合は会社が年末調整として行ってくれます。年末調整では、給与収入から各種控除を差し引いた所得金額や、納税額などが計算され、その情報が市区町村に提出されます。一方、個人事業主や、年収が一定額を超える会社員、あるいは給与所得以外の所得(例えばスキマバイトの収入が雑所得となる場合など)がある方は、ご自身で確定申告を行い、税務署に所得を申告する必要があります。
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。この期間に税務署に提出された確定申告書の情報や、会社から提出された年末調整の情報が、各市区町村に送られます。市区町村は、これらの情報をもとに、一人ひとりの住民税額を計算します。この計算作業が、確定申告期間が終わる3月15日以降に行われるため、ある程度の期間が必要となります。
市区町村で住民税額の計算が完了すると、毎年概ね5月末から6月上旬にかけて「住民税決定通知書」として、会社員の場合は会社を通じて、それ以外の方(個人事業主や、自分で確定申告をした方など)には自宅に郵送されます。このような税務の手続きを経るため、「毎年6月ごろに住民税決定通知書が届く」ことになります。
会社員がスキマバイトをした場合の住民税
普段会社にお勤めで給与所得がある方がスキマバイトでさらに収入を得た場合、住民税はどうなるのでしょうか?
この場合、本業の給与所得とスキマバイトで得た所得を合算して住民税額が計算され、合算した所得金額が住民税の非課税基準を超える場合は、住民税が課税されます。
住民税の納付方法
会社員は、通常、毎月の給与から天引きされる形で住民税が納められています。これを「特別徴収」といい、会社が従業員の代わりに住民税を計算し、給与から差し引いて自治体に納めてくれる仕組みのことを指します。一方、給与以外の所得がある方など、特別徴収ができない場合は、自宅に届く住民税決定通知書に基づいて、ご自身で金融機関などで納付書を使って住民税を納めることになります。これを「普通徴収」といいます。
会社員がスキマバイトをした場合、原則として本業の給与とスキマバイトの所得を合算した住民税額が計算されます。この住民税額を、本業の給与から特別徴収で納めるか、あるいはスキマバイトの所得にかかる住民税分を普通徴収で納めるかを選択できる場合があります。
住民税を普通徴収にするメリット・デメリット
会社にスキマバイトをしていることを知られたくない場合、「住民税を普通徴収にする」という選択肢を取るケースがあります。なぜなら、住民税額が大幅に増えると、会社の経理担当者が「あれ?この人、給与以外の収入があるのかな?」と違和感を覚える懸念があるからです。特別徴収の場合、住民税額は会社に通知されるため、そこから副業がバレてしまうケースもあります。
スキマバイトの所得にかかる住民税分を普通徴収にすると、その分の住民税決定通知書は自宅に届き、自分で納付することになります。これにより、会社に通知される住民税額は本業の給与に対する分だけとなり、副業がバレるリスクを減らすことができます。ただし、普通徴収にするためには、確定申告を行う際に、住民税に関する事項の「給与所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」欄において、「自分で納付(普通徴収)」に〇をつける必要があります。この手続きを行わないと、原則として本業の給与と合算されて特別徴収されてしまうため、注意しましょう。
税金に関する判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
まとめ
スキマバイトで得た収入は、金額にかかわらず住民税の計算対象となります。前年度より住民税が増えた場合は、前年のスキマバイト収入が影響しているかもしれません。
スキマバイトは、単に収入を得られるだけではなく、自身が支払う税額にも影響することを理解しておきましょう。