アルバイトの最低賃金っていくら?スキマバイトも最低賃金が守られている?
25.06.18

「時給」は、多くの人が求人情報で最初にチェックする項目の一つではないでしょうか。できるだけ高い時給で働きたいと思うのは当然ですが、実はどんな働き方であっても「最低限これだけは支払われるべき最低賃金」が法律で定められています。
具体的に自分の働く地域や職種で、いくらが最低賃金なのかをご存知でしょうか?また、最近利用者が増えているスキマバイトでは、この最低賃金はきちんと守られているのか、気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、安心して働くために知っておきたい「最低賃金」について解説します。
最低賃金とは?
最低賃金とは、使用者が労働者に対して支払わなければならない賃金の最低額を法律で定めたものです。最低賃金法に基づき、国が賃金の最低基準を定めることで、労働者の生活の安定を図り、労働力の質の向上と事業の公正な競争の確保を目指します。
この最低賃金は、雇用形態に関わらず、パートタイマーやアルバイトを含むすべての労働者に適用されます。
最低賃金の種類
最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
地域別最低賃金
地域別最低賃金とは、各都道府県ごとに定められている最低賃金であり、原則として、この地域別最低賃金がすべての労働者に適用されます。
所属する事業所の所在地によって適用される最低賃金が変わるため、自分が籍を置く企業が立地する都道府県の最低賃金を確認しておきましょう。また毎年、改定が行われるため、最新の情報を把握しておくことも大切です。
特定最低賃金
特定最低賃金とは、特定の産業について、関係労使が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定める必要があると認められた場合に設定される最低賃金です。例えば、鉄鋼業や百貨店など、特定の産業に従事する労働者に適用されることがあります。
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、原則金額が高い最低賃金が適用されます。
最低賃金を確認する方法
最低賃金は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。厚生労働省のウェブサイトには、全国の地域別最低賃金と特定最低賃金の一覧が掲載されており、自分の働く都道府県名を選択すれば、現在の地域別最低賃金額を知ることができます。また、特定の産業で働く場合は、特定最低賃金のリストも確認しておきましょう。
また、各都道府県の労働局のウェブサイトでも、管轄地域の最低賃金情報が詳しく掲載されています。電話での問い合わせ窓口も設置されている場合が多いので、インターネットでの確認が難しい場合や、不明な点がある場合は、労働局に問い合わせてみるのも良いでしょう。
最低賃金改定のタイミングは10月上旬!毎年チェックしよう
最低賃金は一度決まったらずっと同じ、というわけではありません。労働者の生活水準の変化や経済状況などを考慮して、毎年見直しが行われています。最低賃金の改定タイミングは10月上旬です。アルバイトやパートの時給も、この改定に合わせて変更になります。
最低賃金はどのようにして決まる?
最低賃金の金額は、厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会で、学識経験者や労働者代表、使用者代表の委員が議論を重ねて目安額を決定されます。この目安を基に、各都道府県の地方最低賃金審議会で、その地域の実情を踏まえた具体的な最低賃金額が審議され、最終的に決定されます。具体的には、その地域の物価水準、賃金水準、企業の支払い能力などが考慮されます。
そして、もし現在働いているアルバイトの時給が改定後の最低賃金を下回る場合、使用者はその労働者の時給を新しい最低賃金額以上に引き上げる義務があります。多くの場合、企業が改定に合わせて時給を変更しますが、まれに事業主が対応を忘れてしまったり、意図的に引き上げなかったりするケースも存在します。そのため、最低賃金が改定された際には、自分の働く都道府県の新しい最低賃金額を必ず確認し、自分の時給がそれを下回っていないかチェックすることが大切です。もし下回っているようであれば、使用者に対して時給の引き上げを求めることができます。
最低賃金を下回って雇用されていた場合は、後から請求できる?
最低賃金を下回る賃金しか支払われていなかった場合、未払いとなっている差額分を使用者に対して請求できます。
まずは、使用者に対して、未払い分の支払いを求めることから始めましょう。計算根拠(働いた期間、時間、支払われた賃金、本来支払われるべき最低賃金額など)を明確に伝え、書面で請求します。使用者との話し合いで解決しない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。労働基準監督署は、事業主に対して是正勧告や指導を行う権限を持っており、未払い賃金の支払いについてもサポートしてくれます。
ただし、未払い賃金の請求には時効があります。
民法では、当面の間3年間(改正前の民法では5年でしたが、労働基準法との兼ね合いから当面3年となっています)と定められており、未払いとなっている賃金の支払日から3年を経過すると、原則として請求する権利が消滅してしまいます。未払い賃金に気づいたら、時効前に、できるだけ早く行動を起こすことが大切です。
まとめ
最低賃金法によって、使用者は労働者に対して、国が定めた最低限の賃金以上の金額を支払う義務があります。この最低賃金には、都道府県ごとに定められる地域別最低賃金と、特定の産業に定められる特定最低賃金があり、両方が適用される場合は高い方が優先されます。毎年10月頃に改定が行われるため、ご自身の働く地域の最新の最低賃金は常にチェックするようにしましょう。
スキマバイトについても、雇用契約に基づく働き方であれば、通常のアルバイトと同様に最低賃金法が適用されます。もし最低賃金を下回る賃金で働かされていた場合は、未払い分を請求することが可能です。まずは使用者との話し合い、解決しない場合は労働基準監督署や弁護士などの専門機関に相談することを検討してください。自分の労働条件に関心を持ち、適切な知識を身につけることが、安心して働くための第一歩と言えるでしょう。