スキマバイトに残業代は支給される?残業代支給のルールや支給有無について解説
25.11.27

近年、新しい働き方の一つとして急速に普及しているスキマバイトは、自分の空き時間を有効活用できる便利な働き方として人気を集めています。しかし、予定されていた勤務時間を超えて仕事を依頼される、いわゆる「残業」が発生した場合、皆さんは「スキマバイトでも残業代は支給されるのだろうか?」と疑問に思うのではないでしょうか。単発・短時間の雇用形態であるため、通常のアルバイトや正社員とは異なり、残業代のルールが適用されないのではないか、という不安を持つ方もいるかもしれません。
そこで本記事では、スキマバイトで残業が発生した場合に適用されるべき、日本の労働基準法に基づく残業代支給の基本的なルールを解説し、さらに、万が一残業代が正しく支給されなかった場合の具体的な原因と対処法について解説します。

残業代支給のルール
日本の労働基準法は、正社員、契約社員、パートタイム、そしてスキマバイトといったすべての「労働者」に対して、残業代の支払いを義務付けています。この「労働者」に該当するかどうかは、契約の名称ではなく、実態として企業の指揮命令下で働いているかどうかで判断されます。
労働基準法における残業代の考え方には、主に二つの種類があります。
一つは、企業と労働者が個別に定めた契約上の労働時間(所定労働時間)を超過した場合に発生する残業です。この所定労働時間を超えた労働に対しては、通常は通常の時給で賃金が支払われますが、これは「法定内残業」と呼ばれ、法律上の割増賃金の対象にはなりません。しかし、もう一つ、労働基準法で定められた「法定労働時間」を超えて労働させた場合、企業は労働者に対して割増賃金(残業代)を支払う義務があります。
法定労働時間とは、「1日8時間、または1週間に40時間」と定められており、この時間を超えた労働は「法定時間外労働」と見なされます。この法定時間外労働に対しては、通常の時給に25%以上の割増率を適用した賃金が支払われなければなりません。さらに、午後10時から午前5時までの「深夜労働」や、法定休日の「休日労働」についても、それぞれ25%以上、35%以上の割増率が適用されます。
スキマバイトに残業代は支給される?
結論から言えば、スキマバイトであっても法定労働時間を超えて働いた場合は、法的に残業代(割増賃金)が支給されます。スキマバイトは、単発・短時間の契約がほとんどですが、雇用主と「雇用契約」を結び、その指揮命令下で働く以上、労働基準法上の「労働者」として保護されるためです。
スキマバイトで残業代が発生するケースとしては、法定労働時間(1日8時間)を超過した場合が考えられます。例えば、9時から18時まで(休憩1時間)の8時間勤務のスキマバイトに入った後、急な依頼でさらに1時間働くことになった場合、9時間を超えた1時間に対しては25%以上の割増賃金が発生します。
このように、スキマバイトといえども残業代の支給は法律で定められた権利です。多くのスキマバイトプラットフォームでは、業務終了後にアプリ内で勤務時間の変更申請を行い、現場担当者の承認を得ることで残業代が正しく計算される仕組みが導入されています。そのため、残業を依頼された場合は、時間変更の申請を忘れないようにしましょう。
残業代が支給されない場合の原因と対処法
スキマバイトで実際に残業をしたにも関わらず、残業代が正しく支給されないというトラブルに遭遇する可能性もゼロではありません。
本章では、残業代が支給されない場合の原因と対処法についてお伝えします。
勤務時間の変更申請や記録が正しく行われていない場合
残業代が支給されない原因として「勤務時間の変更申請」を忘れている、あるいは申請が担当者によって承認されていないというケースもあります。企業によっては、残業の指示があった場合でも、必ずワーカー側からの時間修正の申請が必要なルールになっている場合があります。もし残業をしたにもかかわらず残業代が未払いであれば、まずは利用しているプラットフォームのシステム上で、残業した時間を含めた勤務時間への変更申請が完了しているか、そして現場の責任者による承認が済んでいるかを確認しましょう。
もし承認が遅れているようであれば、現場担当者やプラットフォームのサポート窓口に連絡を取り、速やかに手続きを進めるよう促す必要があります。

まとめ
スキマバイトは、雇用契約を結んでいる限り、労働基準法上の「労働者」として残業代(割増賃金)が支給される権利があります。法定労働時間(原則として1日8時間、週40時間)を超えて働いた場合、皆さんは通常の時給に25%以上の割増率が適用された残業代を受け取る権利を有します。
万が一、残業代が支給されない場合は、「勤務時間の変更申請が正しく行われ、承認されているか」を速やかに確認しましょう。これらの手続きを踏んでも解決しない場合は、労働基準監督署などの公的機関に相談し、法的な権利を守るための行動を起こすことが重要です。正しい知識を持つことは、残業代の未払い防止にも寄与します。
他人任せにせず、自分でも正しい知識を得ることを意識しましょう。




















