年金制度の改定はスキマバイトのワーカーにも影響がある?
25.05.21

2024年に新たに年金制度が改正され、新ルールが適用されるようになりました。
皆さんの中には、「年金制度の改正って、自分には関係ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、スキマバイトをしている方やフリーランスとして働く方にも影響を及ぼす可能性があるのをご存知でしょうか。
そこで本記事では、改正内容の概要を整理し、スキマバイトのワーカーにどのような影響があるのかを解説したいと思います♪
年金制度改正法の概要・目的
2024年に施行された年金制度改正法は、日本の年金制度をより柔軟かつ持続可能なものにすることを目的としています。具体的には、以下のような目的で改正が行われました。
- 厚生年金の適用拡大による、より多くの人の保障強化
- 在職老齢年金制度の見直し
- 確定拠出年金額の引き上げ
このような改正により、特にパートやスキマバイトをしている方に影響が及ぶ可能性が出てきました。
3つの改正内容
今回の年金制度改正には、大きく分けて3の主要な変更点があります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
1. 厚生年金の適用拡大
2024年10月以降、所定労働時間がフルタイムの3分の4以上の従業員が常時50人を超える事業者に対し、短時間労働者に対する被用者保険の適用が義務付けられています。また、雇用期間においても2022年10月の法改定により、フルタイムの被保険者と同じく2ヵ月超の要件が適用されることになりました。
新たに被用者保険の適用対象となった要件を整理すると、以下のとおりとなります。
- 月額の賃金が8.8万円以上(年収が106万円以上)
- 1週間あたりの労働時間が20時間以上
- 2ヵ月以上継続して雇用する見込みがある
- 学生ではない
2. 在職老齢年金制度の調整額拡大
在職老齢年金制度とは、60歳以上でも就労を継続しながら年金を受給できる制度を指し、従来の年金制度では48万円の支給停止調整上限が定められていました。新たな法改定では、50万円に拡大され、60歳以上の労働者の働き控えを防ぐ効果が期待されています。
3. iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出上限額の拡大
企業型DCや確定給付企業年金(DB)など、ほかの制度に加入している方のiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金拠出限度額が、月額1万2,000円から月額2万円に引き上げられました。
スキマバイトのワーカーへの影響は?
では、スキマバイトで働いている方にはどのような影響があるのでしょうか?具体的なポイントを見ていきます。
1. 年金保険料の負担増による手取り収入の減少
年金制度改正によって、これまで保険料納付の義務がなかった、または低額であったスキマバイトワーカーにも、新たに保険料納付の義務が生じたり、保険料額が増加したりする可能性があります。特に、短時間労働や収入が不安定なワーカーにとっては、手取り収入の減少に繋がり、生活に影響が出ることも考えられます。
例えば、これまで月数千円程度の保険料負担であった人が、改正により数万円の負担になる可能性もゼロではないでしょう。
2. 厚生年金への加入義務発生による働き方の変化
改正によっては、一定の収入や労働時間以上働くスキマバイトワーカーに対して、厚生年金への加入義務が発生する可能性があります。
これにより、社会保険料の負担や手続きが発生するワーカーも出てくるかもしれません。また、企業側も社会保険料の負担が増えるため、スキマバイトの雇用条件を見直す可能性が考えられ、ワーカーの働き方に影響を及ぼす懸念があります。
3. 将来の年金受給額増加の可能性
保険料の負担が増える一方で、将来的に受け取れる年金の受給額が増加する可能性が期待できます。特に、これまで国民年金のみに加入していたワーカーが厚生年金にも加入するようになれば、より手厚い年金給付を受けられる期待が高まるでしょう。
ただし、保険料負担とのバランスを考慮すると、必ずしも全てのワーカーにとってメリットとなるとは限らない旨を理解しておきましょう。
まとめ
年金制度改正法は、スキマバイトのワーカーにも影響を及ぼす可能性があります。
年金制度は社会情勢などの変化を受け常に改正が行われています。そのため、自分の働き方と将来設計を考慮しながら対応することが大切です。
年金制度の改正を正しく理解し、賢く活用していきましょう。