ギグワーカーは労災保険に入れないですよね?
23.01.20

ギグワーカーは個人事業主のため『労働者災害補償保険』に加入できない。そんな話を耳にしたことがあるワーカー様も多いと思います。
会社員であれば、誰もが加入する労働者災害補償保険ですが、ギグワーカーも加入できるのであれば加入したいですよね。
そこで今回は、ギグワーカーと労働者災害補償保険の関係についてお伝えします!
そもそも労災保険って何?!
まずは『労働者災害補償保険』とは何か?を説明したいと思います。
労働者災害補償保険とは、業務上の災害または通勤上の災害によって負傷したり、病気になったり、障害が残ったり、死亡した場合に、労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。労働者を1人でも使用する事業(個人経営の農業、水産業で労働者数5人未満の場合等は除く)は、適用事業として労災保険法の適用を受けることになり、保険料を納付しなければなりません。
なお、保険料は全額事業主の負担となります。
労働者災害補償保険の加入対象は、パート・アルバイトをはじめ事業主と雇用契約を結んでいる全ての労働者が対象になります。雇用形態は問いません。
しかし事業主と雇用契約を結ばない個人事業主は、例え同一企業で同一労働を担っていたとしても労働者災害補償保険の加入対象にはなりません。
もちろんギグワーカーも雇用契約ではなく業務委託契約を結んでいた場合、労働者災害補償保険の加入対象にはなりません。
『特別加入制度』の活用を検討しよう!
労働者災害補償保険は原則「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」、つまり雇用関係を結んでいる労働者が加入対象となります。
しかし、労働者災害補償保険は『特別加入制度』という制度が設けられており、業務内容等に応じて特別に加入できるケースがあります。
「特別加入」は、次の3種類が設けられています。
第1種特別加入:中小事業主等
第2種特別加入:一人親方その他の自営業者、特定作業従事者
第3種特別加入:海外派遣者
中でも近年、兼業・副業の推進や多様な働き方の広がりから第2種特別加入の対象になる職業が増えつつあります。
令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました!
中でも最近注目を集めている新しい加入対象は次の2職種。
- 自転車を使用して貨物運送事業を行う者
- ITフリーランス
令和3年9月1日から、新たに特別加入制度の対象となりました。
これらの特別加入制度を利用することで、ギグワーカーでも仕事中のケガ・病気・障害または死亡等をした場合、補償を受けられます。
※貨物運送事業は通勤災害の保護の対象ではありませんが、事業の範囲内で自転車を運転する作業、貨物の積卸作業とこれに直接附帯する行為で被災した場合は業務災害として認定されます。
参考:厚生労働省『自転車を使用して貨物運送事業を行う皆さまへ』
参考:厚生労働省『令和3年9月1日から労災保険の「特別加入」の対象が広がりました』
特別加入制度を利用する方法
特別加入制度は、その職種に従事していても会社員のように自動で加入手続きが進められるわけではありません。
自分で加入の手続きを行わなければなりません。
特別加入の手続きは、都道府県労働局長の承認を受けた特別加入団体の窓口に申し出をします。
今回新しく制度の対象となった、 自転車を使用して貨物運送事業を行うギグワーカーやIT系ギグワーカーは次の団体に申込を行います。
運送業や配達員の方の場合:一人親方労災保険組合配達員特別加入部会
ITフリーランスの方の場合:ITフリーランス支援機構全国労災保険センター
また保険料は自己負担です。会社員のように事業主負担ではありません。
特別加入の保険率は業種によって定められており、ケガや事故に遭う確率が高い業種や危険を伴う職種に従事する場合、保険料が高くなります。
まとめ
業務委託契約を結ぶギグワーカーは、労働者災害補償保険に加入できませんが、職種に応じて特別加入制度を利用できるケースもあります。
また近年雇用契約を結ぶギグワークも登場し、ギグワークの在り方はさらに多様性を増しています。
自分らしい働き方が叶うギグワークですが、一方で自分で取捨選択しなければならない場面も多々あります。
ギグワーカーとして働く場合、常に自分の望む働き方ができるよう自ら情報をキャッチアップしていくことも大切かもしれませんね♪